レギュラー番組/菅原明子の「エッジトーク」

●ゲストー野村證券株式会社金融市場本部チーフストラテジスト・松沢中さん
≪今回、2週にわたってお送りするゲストは、野村證券株式会社金融市場本部チーフストラ...≫


今回、2週にわたってお送りするゲストは、野村證券株式会社金融市場本部チーフストラテジストの松沢中さんです。松沢さんが平山賢一さん、村松征治さんらと共著した「市場から国債を考える」 (ISコム)を中心にお話を伺いました。

菅原:国債の話は、新聞や週刊誌で「国債がどんどん増えてる。このままいったら大変なことになるぞ。」という煽り記事は見かけるんですね。そのように政治問題としては聞くことはありますが、金融問題として理解してない部分が多々あるような気がするんですけども、まず毎年発行されている国債とはどんなものなんですか?

松沢:国が公共事業をしたり、政府を走らせるために必要なお金で、税金から入ってくる収入では足りないものを補うための調達手段が国債なんですね。一定の利回りを払う代わりに資金を民間から集めているということです。

菅原:金利は今いくらですか?

松沢:1.2%、1.3%と極めて低いですね。

菅原:この金利は世界的水準から見ても低い金利なんですか?

松沢:そうですね。これに近い金利は台湾くらいですね。米国でも3%ですから、相当低い金利です。

菅原:逆に言うとこんな低い金利なのに買い手がつくというのは変な国ですよね。

松沢:変でもあり、変でもない。実はよく見ると合理的な行動をしてるということがわかるんです。ひとつは金利というのはある意味、お金の値段なので、インフレを加味してるんです。今デフレなので、その分、お金の価値というのは放っておいても高まるわけです。逆に米国は3.3%払ってくれるけども、インフレを調整したベースでは同じような金利なんじゃないか、というのが投資家なり買ってる人の感覚だと思います。

菅原:その国の信用みたいなものが国債の金利に反映するのかな?という気がするんですけど、日本は1%という魅力のない金利でもみんなが買う。ということは、日本の信用があって買われてると思っていいんですか。

松沢:少なくとも、信用の問題が金利にチャージされるような状況には少なくともなってないと事実として言えると思います。では、まったく信用に対する疑念がないのかといえば、例えば、格付け機関が日本の国債の格付けを下げたり、メディアが日々牽連しているように「政府の財政に問題がある」というような報道が国債の金利にまったく影響しないとは言えないと思いますね。

菅原:国債を買ってる企業もそういう意味の懸念を持ちつつ、松沢さんのところに相談に見えるわけですね。

松沢:そうですね。十数年仕事をしていますが、この数年はまさに、国際の信用という問題について問われるケースが非常に多くなったと思います。

菅原:普通に考えると「金利が高い国債を買ったほうがいいや」となってね、世界中眺めまわして、「どこが金利が高いのかな?」みたいな気持ちで企業なりが国債を買うのかなというような気がするんですけど、どうでしょうか。

松沢:そうですね。これにはふたつあって、ひとつは、払っている金額をそのまま享受するため。例えば、米国の3%の金利を享受するためには為替のリスクをとらなきゃいけないわけですね。この為替の変動リスクはけっこう大きくて、金利で入ってくる収入をはるかに越えてしまうような変動が起こります。ですから、その部分でリスクがとれるかということがひとつ。

松沢:もうひとつは、円を持っている投資家、例えば銀行であったり。これはもうすでに自分の払う負債、預金が円になってますから、あまり資産側に外貨の資産を入れないように規制があるんですね。規制上、なかなか外貨にそれほどお金を持っていけない。言ってしまえば、円という通貨にコミットしている時点で、もう銀行や投資家は国債を買わざるをえない。

菅原:買ってもらわないと国も困るというところもありますよね。

松沢:そういうことですね。言い換えれば、日本が本当に国債を買いたくないのであれば、なにをするかというと、円の預金をとることをやめることです。「預金は持ってこないでください」と言わなきゃいけないことになります。